IWC Sake部門についてのコラム

2012年7月2日

IWCの日本酒審査に参加してくださった酒文化研究所代表の狩野卓也さんが
酒造組合中央会主催の「日本酒で乾杯推進会議」のメルマガのコラムに
今回の審査を通じてのご感想を丁寧に書いてくださいました。

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■日本酒コラム「国際化のための他流試合」
 6月も最終週となりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。今月は、直前に迫ったロンドンオリンピックの代表決定戦や、サッカーW杯ブラジル大会の最終予選などスポーツに関する報道が目白押しでした。ここ一番の試合で実力を十分に発揮できた場合とうまくいかない場合などいろいろあった中で、サッカーの場合には、2勝1分とこれ以上ない順調な滑り出しでした。テレビで試合を見ていても昔に比べると明らかに強さと余裕を感じさせられます。なぜこれほど力をつけてきたのかと言えば、国内だけにとじこもらずに、海外の強豪リーグでプレイして経験値の高い選手が増えたからなのでしょう。仮に技術的には同じ程度であったとしても他流試合をこなした選手は、瞬間的な判断能力があがっているのでしょう。考えてみれば、日本の製造業が隆盛を極めた頃も商品や人がどんどん海外に出ていき、国内だけよりも多様な価値観による判断を受け入れて、商品開発、改良などを進めていたのではないかと思います。
国際化という意味では、日本酒の世界でも同じようなことが起きています。日本酒の海外出荷はじわりじわりと増加してきましたが、ここでも国際化のために他流試合が寄与しています。たとえば、ワインの世界では最も有名で規模も最大のコンテストIWC(International Wine Challenge)というものがあるのですが、関係者の努力によって2007年から日本酒部門も設けられています。ロンドンで行われる世界的なコンテストですので審査員も半分以上は外国人です。したがって、同じように日本酒をティスティングして評価を決めるのであっても手法や評価軸がずいぶんと違います。今年はこの審査会が東京で行われたので、私も審査員をさせていただきましたが、一言でいえば、そのお酒の長所を言葉で表し、その価値観が他の審査員と共感できるかどうかがポイントとなります。
日本で行われてきた日本酒の審査は、製造上の欠陥がないかを確認して良好な味わいになっているかを確認することが主流で、長所を見つけ出すということには、重きをおいていませんでした。日本人は謙譲を美徳とするので、あまり褒めるということが得意ではないという気質も反映されてきたのかもしれません。しかし、外国の人に受け入れてもらうためには、素晴らしさ、おいしいさを簡潔に外国語!で表現できないとそもそも飲んでもらうことができません。だから日本酒のおいしさ、香り、そして乾杯の作法や意味などの表現、用語をもっと考えないといけません。
とりあえずは、ワインの世界で使っているフルーティ、フルボディなどの用語をそのまま日本酒の表現でも使っている人が多いようですが、いまひとつしっくりきません。できれば日本酒オリジナルの評価用語が生まれてほしいものです。そしてそれが柔道用語のように、そのまま海外で使えるようにできたら最高だと思いませんか。日本酒が海外で飲まれるようになると同時に「Kanpai」「Tanrei」などの言葉と意味が世界中に広がるようにするために、もっといろいろな人と盃を重ね、乾杯をしていきたいものです。

(日本酒で乾杯推進会議運営委員・酒文化研究所代表 狩野卓也)
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http://www.sakedekanpai.jp/member/index.html

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