NHK鹿児島の報道に感慨

2022年1月27日

【長文です】

「日本酒を世界のSAKE」への活動で一番最初に取り組んだのは、世界に向けた日本酒の教育でした。日本酒は、日本にしかないものなので、海外の人達にとっては未知のものです。その価値をきちんと伝えていかなければなりません。 
 そして、どの国もお酒を販売するには酒販免許が必要ですので、先ず酒類の取扱い業者に知られなければ市場に入っていかないし、そしてその市場にSAKEのプロを育成していかなければ良い市場は育たないと思いました。 
 例えば、フランスワインを日本で広めているのは、フランス人自身より日本人ソムリエですよね

 同じ醸造酒であるワインのプロを育成する世界最大の教育機関WSET のロンドン本校で有志の蔵元さん方(浦霞の佐浦社長、満寿泉の桝田社長、天狗舞の車多社長、いづみ橋の橋場社長)と日本酒のレクチャーを行ったのは、2003年の事でした。その後、年に一度、色々な蔵元さんが渡英してくださり、私もWSET にSAKE講座の設立を働きかけて、10年かかりましたが、WSET の新規事業担当者のマスターオブワインであるAntony Moss MWと菊谷なつきさんの尽力で、2013年にWSET にSAKEの資格講座が誕生しました。 
その後、日本産酒類の輸出拡大を目指す政府の招聘事業も行われてWSET の展開する70ケ国以上の中で26ケ国と3地域でSAKE講座が始まり、SAKEの資格取得者は10,000人を超えました。 
 そんな中、招聘事業で来日したAntonyが「トシ、今、蒸留酒のプロフェッショナルレベルであるLevel 3 をつくっているんだけど、アジアの蒸留酒の中に焼酎と泡盛を入れるつもりなんだ。」と話してくれたのです。それは、2005年にIWCの審査最高責任者に就任したSam Harrop MWから「トシ、もっとSAKEを世界に発信しよう。IWCにSAKE部門を創るから協力して欲しい。」とメールをもらった時と同じような衝撃でした。 
これは、焼酎と泡盛の世界の蒸留酒業界への素晴らしい訴求になる可能性もありますが、独立して資格講座が出来たSAKEと違って、他の蒸留酒の中で埋もれてしまうかもしれません。まだまだ焼酎の輸出が本当に小さい(全生産量の0.6%)ので、このチャンスを活かせる事業者がいるのかも見当がつきませんでした。 

招聘事業でお世話になった農水省の方が、鹿児島県選出で農水大臣もされた森山裕先生と鹿児島県、鹿児島県酒造組合をご紹介くださり鹿児島県で「鹿児島県焼酎輸出拡大等プロジェクト小委員会」の第一回が開催されたのが2018年6月でした。私は、WSET の日本での最初の認定校を運営するキャプラン株式会社の顧問の立場もあり、この委員会とWSET の繋がり作りやプロジェクトの企画のお手伝いからアドバイザーの立場をいただいています。  

本日、ジャパンブランドにも採択された、このプロジェクトの定期オンライン会議にNHKの取材が入り報道されました。 

WSET の蒸留酒の講師で日本に招聘されたメンバーの Hannah Lanfear、Rose Brookman に焼酎の講師として現地で活躍してもらいながら、焼酎の販売にも繋がるというのが今回のプロジェクトのアイデアです。 
まだまだ、コンテナに満載した焼酎をどんどん送るほどの市場ではない海外で、世界に認められた組織の教育プログラムで、そして現地で信頼された講師によって啓蒙しながら商品を送っていきます。 

 これは、澤田且成さんがコツコツ作られたロジスティックのシステムなくしては実現しませんでした。 市場は、人の情熱と人と人とのご縁が創っていくもの。とつくづく思う今日この頃です。

↓【NHKのニュース映像】
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20220127/5050017684.html

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