2014年11月29日
世界62ケ国に広がるワインの教育機関に日本酒のコースが開校しますが、それにあたって日本酒の海外振興施策としてこの講師育成研修を農水省が支援しています。私はこの事業のオーガナイズに関わっていますが、その研修の一環での蔵元訪問で岐阜県の飛騨・高山地域にやってきました。
一日目の昨日は下呂市、高山市、それぞれで一蔵づつ訪問し、2日目の本日は飛騨市古川の渡辺酒造店「蓬莱」さんを訪問しました。
http://www.sake-hourai.co.jp/
蓬莱さんは岐阜県で一番大きなお蔵さんで生産量は4,500石(1石は一升瓶100本の量)。岐阜県全体で32,000石ほどなので県全体の7分の1強を生産している事になります。しかしながら、日本全国で見ると日本酒の主産地、灘、伏見(兵庫、京都)の大手の蔵元さん方、例えば日本酒業界最大手の白鶴さんは330,000石なので、岐阜県全体の生産量の10倍を1社で生産しています。
ですので、それぞれのお蔵さんはそれぞれの規模や酒質、人材や原料、蔵のある地域、流通、そして蔵のポリシーなど多くの条件下でそれぞれの個性を発揮しています。
グラスの中だけでないこうした背景を知れば知るほど日本酒は面白いです。
今回、各地域で蔵訪問する際にWSETから訪問蔵全てへ任意の質問表が送られました。規模や蔵のポリシーなど多岐に渡りましたが、蓬莱さんへは、この奥まった飛騨地域で、どうやって規模を拡大したのか?という質問がありました。渡邊社長は大変丁寧にそれに応えてくださいました。また、蔵のユニークなポリシーの中で「スピリチュアル」な要素を大切に考えていると話されました。
事前のやり取りの中で、私の方から、お酒の試飲に関して彼らは元々ワインの専門家なので、彼らの普段のワインテイスティングの環境を作っていただけないか?それにあたって資料もワイン専門家用のものの見本をお知らせして試飲酒全てにご用意いただきました。
小さなお蔵さんには、ここまでお願いできませんし、蓬莱さんにはアメリカ人の蔵人Codyさんがいらっしゃるのを知っていましたのでご相談出来ました。
それで実現した試飲時間は大変有意義なものになり、講師一同大変喜んでいました。
渡辺社長からの要望は「蔵だけでなく、是非、古川の町歩きの時間を設けていただきたい。」という事でした。
そうして設けられた町歩きの時間に、1年で一番大切なイベント「ふるかわ祭り」の記念館で、ふるかわ祭りの3D映像を鑑賞し展示されている実物の屋台の大きさに驚きました。
地元愛に溢れる渡辺社長のコメントが続きます。
「この地域の人たちはこの地域の酒しか飲みません。それが我々の誇りです。だから地域の人たちのために地域の料理に合う酒を造り続けています。うちの酒はこの地域でここの料理と飲むのが一番うまいです。」
昼食会場のレストランには飛騨市役所からも観光課の方がみえて、挨拶がありました。その後、飛騨牛のほう葉焼などの郷土料理に舌つづみ、そしてその場で渡辺社長から今回来日したメンバーに彼らの名前を漢字(当て字)で記したスペシャルボトルの日本酒がプレゼントされました。
昼食の最後にWSETの代表者のアントニー・モス氏からの謝辞で彼は「我々がワイナリーを訪問した際に、いろいろな事情で、時に深い交流にならない時があります。それはそれで仕方のない事なのですが、今回の渡辺酒造さんへの訪問で皆さんが様々に準備をされ、我々の短い訪問を大変有意義で印象深いものにしてくださった事は我々の胸に深く刻まれました。講師達は蓬莱さんの有難うパワーの事は決して忘れないと思います。心から感謝いたします。」と語りました。
本当に有難うございました。
岐阜県から出されたこの事業についてのプレスリリース↓
http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/gyoji/chiiki-sangyo/wset.data/wset.pdf
Categorised in: WSET(Wine and Sprits Education Trut)