和食会議「平成30年 第1回普及・啓発部会」で「菊酒体験」講師

2018年8月22日

≪すごく長文になります🙏

今回の8月22日の「菊酒体験」の20分の講師役は、

2011年に起業してからいろいろな機会に講師をした中で一番悩んだ講師役でした。

「一般社団法人 和食文化国民会議」https://washokujapan.jp/

はユネスコに和食が登録になった時に貢献した任意団体が一般社団化した団体で

「和食の保護継承活動」を幅広く行っています。

私自身は、食の専門家というのでもないので、

最初、お世話になった農水省の方に入会のご案内をいただいた時に「敷居が高過ぎる」と感じて躊躇していたのですが、

「日本酒も和食の一部として、この団体の中で存在感を出せないともったいないのでは?」との

「もったいない」を聞き過ごす事が出来ずに、

(というのも私が日本酒の国際化に関わるようになったのは、

「このまま、国内消費用だけの酒では日本酒がもったいない」だったからです。)

そして、日本酒をワインのような世界のSAKEにしていく事で地方の酒処へインバウンドを誘客したいという夢には、

やはりもっと食を知らないと…という気持ちもあり、個人会員として入会し、

その後、(多分、FaceBookのお友達がたくさんいたので)この団体の発信を担う連絡会議の幹事として

関わらせていただいています。

ですので、今回、この和食会議の中の第一回普及啓発部会で、

五節供プロジェクトの「重陽の節供」で「菊酒体験」の講師を担当する事になって、

大変光栄ながら、当初、私で本当に良いのか?と悩み、

そして私がこの「菊酒体験」を担当する事になった巡り合わせの意味まで、ずい分考えてしまいました。

(振り返ると人生は何らかの必然の繰り返しに思えるようになったからです)

そこで、多くの蔵元さんに聞いてみると、

重陽の節供9月9日に、菊酒を楽しむイベントが業界としては現在ほとんど行われていないようでした。

有難かったのは、7月30日に行われた第一回調査・研究部会で清絢先生の講演「五節供の食べ物の地域性」に菊酒についての発表があり、

   

この資料を使わせていただける事になった事です。

 

これで和食会議の中で「菊酒」のベースとなる情報を調査研究部会と共有出来ました。

 

菊酒体験の試飲酒の選択を任せていただけたのですが、これも大変悩みました。

出来れば、この団体の会員の蔵元さんで、且つ私の話の内容に合うようお酒である事が望ましかったのですが、

最終的には、「松尾さん(お酒の神様の松尾大社)が風を吹かせた」と思えるお酒にたどり着けました。

この部会のために、新幹線や飛行機でやってくる地方の会員の方々もいらっしゃるので、

絶対に美味しいお酒でなくてはならない。

また、この機会に日本酒の多様性を参加者の皆さんに体験していただきたい。

そして、その中に、今の時代まで家業として蔵元さん方が継承してきた日本酒の価値も

感じてもらえたら…と思いは盛り沢山となり、

事務局の方々や蔵元さん方にご相談して

4種類のお酒を試飲していただく事になりました。

今回、一番最初に試飲していただいたのは、
「月桂冠 特選 本醸造」 (京都府)
↓ こちらのHPでも紹介されていますが、
http://www.gekkeikan.co.jp/products/type03/tokusen/
IWC2018(世界最大のワインコンペティション)のSake部門で、

最もコストパフォーマンスに優れた銘柄に選ばれました。

冷でもお燗でも楽しめる食事に寄り添う正統派のお酒です。

こうした銘柄がこの大会で選ばれる事自体、このSake部門が出来て12年という年月を感じます。

お酒は、 日本漆器協同組合連合会様のご協力で漆器の盃に菊の花びらを浮かべて、

平安時代に貴族文化から始まり、

江戸時代には庶民の間にも流行ったという「菊酒」を楽しんでいただきました。

2番目に試飲していただいたのは、
スパークリングサケの「松竹梅 澪」宝酒造(京都府)です。
https://www.facebook.com/shirakabeguramio
アルコール度数も普通の日本酒が15度以上あるところを5度という低アルコールで、

お酒を飲み始めたばかりの若い世代にも飲みやすく、グラスで楽しめます。

まさに、多くの人が日本酒に親しめるように生まれてきたお酒です。

世界30ヶ国に輸出されているそうです。今回の部会でもプラスティックのワイングラスで試飲していただき、

こちらにも菊の花びらを浮かべています。

ワイングラスでも、泡が出る日本酒でも、

菊の花びらを浮かべて日本酒を飲む行為は雄弁にそこに文化がある事を伝えてくれます。

3番目に試飲していただいたのは、パネルディスカッションにも登壇された京都伏見で一番古い老舗酒蔵、

「月の桂」醸造元、増田徳兵衛商店の古酒、「月の桂 十年貯蔵純米大吟醸古酒琥珀光」(京都府)です。
『純米大吟醸酒を特別な甕の中でゆっくりと眠らせ、琥珀色に輝く滋味豊かな大吟醸古酒。

気厚く色は深厚で円熟した芳醇さは、十七世紀の日本人がこよなく愛し、

珍重した桃源郷を再現』とはHPからの引用。
日本酒は新酒が良いと思われている方も多いかと思いますが、

素晴らしい熟成を楽しめる古酒の魅力はまた別の日本酒の世界を私たちに見せてくれます。

今回の部会で会員の方々に是非、味わっていただきたかったです。

https://www.tsukinokatsura.co.jp/ec_shop/goods.php…

そして最後の4番目は、石川県で「加賀の菊酒」の伝統を受け継ぎ、

「こく豊かで品格ある風味」をコンセプトとしたGI認定を受けた白山菊酒のご紹介として、
https://www.ishikawasyuhan.jp/白山菊酒-%EF%BD%87%EF%BD%89白山認定酒/

石川県白山市の車多酒造さんのご協力で、http://www.tengumai.co.jp/
白山菊酒の認定酒である「天狗舞 純米大吟醸」を試飲していただきました。
手のかかる伝統的な山廃仕込による豊かな味わいと熟成した香りを特徴とする、

ふくよかな吟醸香と芳醇な味わいの純米大吟醸酒です。

今回の部会のお手伝いを通じて、感じた事は、この「菊酒」のような文化の大切さでした。

「日本酒を世界のSAKEへ」という活動を通じて知り合った日本酒普及に関わってくれている海外の人達は、

勉強していて、例えば酵母や酒米についても、一般の日本人よりずっと知っています。

プロだからと一言で片づけるのは簡単ですが、日本酒の生まれた日本の国の国民である私たちは、

日本酒が国際化していく中で、どうある事が望ましいのか?と考えた時に、

プロに近いまで日本酒について知らないまでも、「9月9日の重陽の節供には菊の花びらを浮かべて日本酒を楽しむ」

という文化行動を生活の中で実行していく事が、

生まれながらに日本酒文化を持っている民族の理想かと思いました。

品質の良い日本酒を世界に発信すべく、品評会関連にも関わっておりますが、

そこには、海外産の日本酒も出品され始めています。

海外で品質の良い日本酒が生産されていかないと、海外での日本酒マーケットは広がっていきませんが、

それだからこそ、グラスの外の世界、日本酒の文化的な背景が日本酒の素晴らしい価値を支えていきますので

日本🇯🇵国内で大切にして発信していきたいです。

こうしたおもいをあらためて強くする事が出来たのは、

今回の機会をいただけたからと和食会議の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

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